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第48話 傍にある無常 |
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夏の眩しすぎる陽光がすべてにふりそそぐ。 藍かすりの着物に淡い生成りの帯、背すじをシャキリと伸ばし、その陽光を切り捨てるよ うに日傘を翳し、前を見据えてさっそうと歩く。それでもまだ眩しいのか少しだけ目を細 めている。光の乱反射を背にしたその姿は幼かった私の目にも粋に映った。1960年代 後半の若かりし祖母の姿だ。
その祖母は、93才(2008年4月8日)でこの世を去った。
後年、私達が両親と一緒に暮らすようになってからは、祖母は大きな家でひとり暮らした
。最後の最後まで人に頼らずたったひとり生活していた。
祭壇の中央に飾られた祖母の写真の前に妹とふたり座っていた。
なんだかふっと笑えた。
対面に座っていた叔母が口を入れた。
祖母がひとりで暮らす家に、私は年に数回顔を出していた。しかし、そこにいる時間はほ
んの30分程度、あまりにも希薄な時間だ。
初出版のコラム集「グッドオールデイズ」が2008年3月末にできあがった。既に意識
の回復がみられない祖母ではあるが、どうしてもその本を渡してやりたいと思い、4月1
日に休みをとり向かった。
その7日後だった。
あの家にはもう誰もいない・・・・・。 たった一度っきりのこの命というひとひらの時を、すべからく全うした祖母のように、私 自身も死の瞬間までしっかりと生きなければいけない! 葬式も終えた数日後、祖母の好物の一品さえもわからなかった盆暗な私は、ならばと、私 自身の好きなコーヒーを片手に、たったひとりその静寂なる墓に参った。
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