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第170話  照明の怪

  いつからだったろう?
夏の夜、眠くなった私は、いつものように埋め込み式蛍スイッチをパチリと押し込み照明を消した。シーソー式の小さなスイッチは小気味よい切れのある音を発して、電源を落としたのだという確固たる認識をさせられる。その行為と耳をさすその音だけでスイッチが切れたのだと十分に理解ができる。
間接照明2個と天井からの薄暗いペンダントライトを2個併用しているので一つ一つのスイッチをオフにしてから、その最後のペンダントライトを消して2階にある寝室へと向かう。後ろは振り向かない。
夏の朝の日の出は早い。
翌朝、目覚ましで眠りからたたき起こされた私は、いつものようにジョギングの準備をして外に飛び出し、それが終われば食事をして仕事に向かう。それがいつものながれ。
その日、仕事を終えた私はいつものように車で帰宅、家に近づくと家の中のペンダントライトが窓越しにひとつ点灯しているのに気が付いた。
まさか消し忘れたか?
あらゆる電気系のスイッチ、ガス器具やボイラーなどの機器に関して、私はナンバリングをしてそれぞれ指さし確認をしてから家を出ている。こんな消し忘れなどあるはずなどなかった。ただ、現にこうして薄暗いながらも煌々と明かりが点いているのを目の当たりにすると少しばかりのショックは免れない。火事が1番怖い、しっかりと気を付けなければならない、そう思った。
部屋に入るとやはりそのペンダントライトは点いていた。
あたりは夜の闇だ、そのペンダントライトはそのままに、他のライトも加えて点灯し夜の時間を過ごす。
ほどなく眠くなった私は、またその埋め込みスイッチをパチリと押し込みスイッチをオフにして2階へと向かう。
朝に目覚め、そして再びいつもの一日が始まる。
するとどうだ、その日の夜もまた、そのペンダントライトはしっかりと自分の意志なのだと言わんばかりに点灯していたのである。
私は何か違和を感じざるおえないこの状況に、ざわりと背筋に冷たいものを感じてしまう。得体のしれない何かがここにはいるのか、そんな雑念がちらり脳裏をかする。
まさか・・・。
この日もまた昨夜と同じそのままの生活を継続して翌日を迎える。
こんな日が1週間ほど続いただろうか。
毎夜毎夜一部屋の薄暗いペンダントライトが点いているのである、これはおかしな事だ。
だが、私にはまったく原因がつかめない、不思議な現象だ。見守るしかない。
まぁ、灯りが点かないよりはましだし、点かない方が生活には不便極まりない。
10日ほどたった、夜中にふっと目覚めた私は、ついでにトイレに立った。
2階から1階へ。
階段の電灯を点けて段差を一段一段下りていく。
ん、私はなにか違和を感じた。階下に少しばかりの灯りがこぼれている。
寝る前に消したはずのその部屋からぼんやりと明かりが漏れているではないか。おいおい
勘弁してくれよ、再び背筋が凍る、なんかいるのかい。
私は暖簾式のカーテン越しに恐る恐るその部屋を覗き込んだ。
いつもの部屋いつもの配置、何者もいるわけはない、ホッとする。
私は、部屋を覗くそのままに、部屋とスイッチを見渡せるいつもとは逆の体制で、その部屋のライトを消すためにそのスイッチを押し込んだ。
カチリと小気味よい音がして部屋には再びの暗闇が訪れる。
が、私の指がそのスイッチ本体から離れる瞬間に、押し込んだ時のカチリ音にかぶさる形で「チッ」と瞬時にスイッチが戻った。押し込んだ部分が内側から押し戻されたように元に戻ったのである。私はその瞬く間の出来事にあっけにとられた。
当然スイッチが再び入った部屋は明るくなった。
「えっ」、いったい今何が起こったのだ?
気を取り直し、再びそのスイッチを押し込むと、やはり瞬時に元に戻ったのである。
そうか、そうだったのか、なんとなくだがこの一連の不思議な出来事に光明がさした。
寝るときに一度だけこの最後のスイッチをオフにするのだが、背中越しにスイッチを切って部屋を後にするから、このスイッチが故障していてライトが再び点いたことに気が付かなかったのだ。朝はすでにあたりが明るいから薄暗く点灯していたこのライトにはやはり気が付かなった、と言う事か。
納得がいった。難解だったこの現象にピリオドが打たれた。
それにしても、埋め込みスイッチはこんな故障をするものなのか、初めて知った。
原因がわかってホッとした、怪現象じゃなくってホッとした、これでぐっすりと寝られる。
翌日、電気工事の匠Kさんがやってきて、言葉少なに1分で作業終了、風を切るようにこの場を去っていった。かっこいい。

 
   
   
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